
私は美術鑑賞が大好きで、東京とか広島・名古屋や四国などの遠方まで足を運ぶのですが、それでもハートがワーッと共鳴して感動するような展覧会は、なかなか出会えません。
でも、今回は、一緒に行ったお友達3人が全員、見終わった後に放心状態になり、しばらく現実に戻って来れなかったほど魂が揺さぶられ、感動してウルウル来てしまったのでした(^。^)
何がすごかったかと言うと、とにかく色使いがビビッドで勢いがあって、展示されている絵の全てに共通して生命に対する愛情が満ちあふれていたこと。

「シスコパラダイス」の塔本シスコさんは、本格的に絵の勉強をした方じゃなくて、画家を目指していた息子さんが家に残していった絵の油絵具を包丁で削り落として、その上から自分の絵を描くところから絵の道に入られた方なのだそう。その時、53歳だったそうで、もちろんプロの画家を目指して始められたのじゃなかったはず。
なので、人間の描き方も、何だか手足が変だったり、上手か下手かと訊かれれば、もしかしたら上手な絵とは言えないかもしれない。でも、それが枠にはまらない自由さ、図録には「私には、こがん見えるったい!」と書かれてありましたが、自分が描きたいと感じたものを描きたいように描く、その計算も何もない真っ直ぐなエネルギーが、絵からこれでもかと言うくらいにあふれ出ていました。
下の絵など、どこからどう見たらいいんだろう。。。?と思うような絵ですよね(^^;) でも、全然おかしくないし、シスコワールドにハマってしまったからか、何だか秩序があるようにも感じてしまいます。
実際、ご本人がご存命中に開催された展覧会では、「上下どちらでもいいから」と言われたのだそう。多分、上下をひっくり返してみると、また見え方が変わってくるんでしょうね。

そして、その発想の自由さは画材にも表れていて、上の絵もそうなんですが、下の絵も段ボールに油彩なんですよね。近づいてみると、段ボールのでこぼこが見えてびっくりしました。とにかく描きたい!画材は何でもいいから、身近にあるものでいいから、とにかく描いて描いて、描きまくりたい!という情熱が絵から伝わってくるんです。

シスコさんの自由な表現が大きく花開いていったのは70代~80代になってからのようで、絵を描き始めた50代の頃のはちょっと抑制的で無難な表現に感じました。自分のやりたい事をちょっとやってみると、どんどん情熱が湧いてきて、段々止まらなくなっていった、という感じでしょうか。
下の絵なんて、90歳の時の作品なのだそう。この時既に認知症を患っておられたそうなので、それでもこんなに勢いのある絵が描けるなんて、どんなにパワフルな方だったのでしょう。

このカサブランカの絵は本当にエネルギーがすごくて、私のは自分のハートが絵のエネルギーと共鳴して、しばらく動けなくなってしまったぐらいでした。もうね、本当に写真では伝わらないのが残念なのですが、ものすごいパワーを絵から頂いたような感じでした。
有難いことに、会場はすべて撮影OKだったので写真を撮りまくったし、図録まで買ったのですが、それでも本物の持つエネルギーには遠く及ばないんですよね。。。(^^;)
なので、少しでもピンときた方は、出来るだけ会場に足をお運び頂ければと思います。特に、「最近ワクワクすることがない」「何かやりたいことがあると思うんだけど、それが何か分からない」という方に強力おすすめです!
自分を制限して生きている人が自由にのびのびと生きている人を見て「あんな風に自由に生きてもいいんやね」って勇気をもらえるのと同じように、魂の情熱に従って人生を全うした方の表現には、きっとハートが共鳴して何かしらインスピレーションがもらえるかもしれないです(*^^*)
「シスコ・パラダイス展」は滋賀県立美術館にて、9月4日(日)まで。JR瀬田駅からバスが出ています。美術館近辺は日本庭園があって、静かで落ち着く、とても素敵な場所でした。ぜひ、ゆったり時間を取ってお出かけくださいね♪